東京電力福島第一原発事故の被災地で原発に頼らない再生可能エネルギーの普及に努める福島県楢葉町の議会で9日、太陽光発電施設の「乱開発」抑制につながる条例案が可決された。人口の回復に不可欠な町の魅力・里山の景観を守るためで、業者の事業権の問題などから効果的な規制が設けにくいなか、切り札としたのは「町民同士のコミュニケーション」だった。
町内の里山地を車で走ると「農地求ム」「求む太陽光発電用地」といった看板があちこちにあり、集落では家々の間の小さな空き地にも太陽光発電施設のパネルが光る。町によると、今年9月までの約1年間に町へ提出された開発計画は163件におよぶ。用地は原発事故で避難した人の土地や、営農再開を断念した人の田畑がほとんどという。
震災前に人口約8千人だった町の居住者数は、今年11月末で約4300人。人口回復が悲願の町は、帰還促進だけでなく、移住者の呼び込みにも力を入れる。売りは「里山の景観と暮らし」だ。2015年に避難指示が解除されて間もないころ、町が町民にアンケートした「楢葉で好きな場所」1位は「自分の家の周り」だった。しかし、移住者からも隣接地などに太陽光発電施設が多数できることへの苦情が町へ寄せられるようになっていた。
条例は、太陽光発電施設を設…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル